FIMの各論として、更衣下半身についての評価方法をまとめました。
基本的な考え方から採点方法やそれぞれの点数ごとの悩みやすいケースや
紛らわしいケースをそれぞれ載せてありますので、一つ一つ整理してみてください。
FIM総論として全体的な特徴・採点項目についてはこちらで説明しています。
⇒FIM徹底解説 ~FIMの特徴や運動項目・認知項目の採点ポイント~
FIMにおける更衣下半身の定義について
FIMにおける更衣下半身の定義
定義:腰より下の更衣及び、義肢または装具を装着している場合はその着脱も評価する。
- たんすから必要な衣服を取り出し、腰から下の衣服を着脱することを評価する。
- ズボン、下着、靴下、ストッキング、靴などが含まれる。
- 装具を着用している場合は、装具も評価対象となる。
以下詳細に説明していきます。
更衣下半身の採点範囲は?
①更衣動作:ズボン スカート パンツ 靴下 靴 装具の装着
②準備:ズボンなどを取り出すしまう動作
*原則的に入浴前後の着脱は特殊な状況なので含まない
* 装具になどの扱いについて
装具の着脱は更衣動作に含む
更衣の主動作ではないので、装具の着用が全介助でも5点までしか減点されない (上半身・下半身共通の考え方)
*浮腫防止のための弾性ストッキングも、装具と同様の扱いとなる
*補助具の扱いについて
下衣で用いられる補助具とは次のようなものです。
- ストッキングエイド(ストッキング用ソックスエイド) (正規品)
- マジックリーチャー お助けハンド ロング
- ズボンに改造(止めやすいボタンにする、腰をゴムに変更している)
また、靴だけに限らず、ズボンに改造(止めやすいボタンにする、腰をゴムに変更している)があれば6点と採点してください。
★義足やおむつは更衣動作には含まれないため、7点となります。
まず、大きく行為の動作と準備の動作の2種類の採点する項目があることが重要です。
また、入浴時の着脱に関しては対象外となっていることも覚えておく必要があります。
そしてここが間違えやすいですがオムツの使用に関して減点されるのは「排尿コントロールの時であり更衣の採点の際には問題ない」という風なことをしっかり理解しておいて下さい。
そうしないと混同してしまい誤って減点してしまう恐れがありますので注意してください。
更衣(下)の採点ポイント
ー自立レベルー
- 自力でたんすから衣服を取り出し、腰から下の更衣・装具の着脱をしている …7点
- 時間がかかる、改良した衣服や自助具を使用している。 …6点
ー見守りレベルー
- 介助、監視、準備が必要 …1~5点
準備とは、服を取り出す・脱いだ服をしまうことを指す。
装具の扱いは、装具や弾性ストッキングを介助している場合…5点
ー介助レベルー
· 4点以下の採点は、行っている動作の中で衣服の種類を分解して考える。
例えば、ズボン・下着・ 靴下・靴を着用していれば、そのうちいくつの動作が自立しているかで採点する。
採点の流れとしては、まずは自立レベルか監視レベルか解除レベルかのどこに該当するかを明確にしてそこから細かい点数の差を判断していくと良いと思われます
細かい注意点に関しては上記に記載した点を参考にしながら点数をつけていきます
更衣 下半身で各点数ごとに悩みやすいケース
更衣 下半身:7点で各点数ごとに悩みやすいケース
・使用している場合には、義足や紙おむつを含めて全て行えている場合
理由:おむつは更衣の補助具ではないため。 排尿コントロールでは減点対象
・更衣に関して自立しているが洋服を取りに行くのに歩行器を使用している。
理由: 洋服を取りに行く過程は移動に含まれるため減点されないことから7点となる
更衣 下半身:6点で各点数ごとに悩みやすいケース
・ストッキングエイドを使用している、通常よりも時間がかかる
理由:補助具を使用しているため
更衣 下半身:5点で各点数ごとに悩みやすいケース
・ベッドの間は狭くて車椅子が通れないため看護師が患者の服をとってこなければならないが更衣自体は自立している
理由:自分で取りに行けば 減点されないが 環境のせいでも介助を要している場合は準備となり5点となる
更衣 下半身:4点で各点数ごとに悩みやすいケース
・靴ひもを結ぶことを介助してもらっている。
理由: わずかな介助が必要となることで4点となる
まとめ
更衣下半身で重要な点として、下記の点があります。
・義足やおむつは更衣動作には含まれないため7点となる
・浮腫防止のための弾性ストッキングも、装具と同様の扱いとなる
・衣装ケースに歩行器を使用しても減点されないが、環境のせいで 通ることができずとってもらう場合は準備となる。
これらを整理しながら、繰り返し覚えていきましょう。