FIMの各論として、食事についての評価方法をまとめました。
基本的な考え方から採点方法やそれぞれの点数ごとの悩みやすいケースや
紛らわしいケースをそれぞれ載せてありますので、一つ一つ整理して見てください。
FIMの食事は採点項目の中で一番点数が高くなりやすい項目と言われております
その分、この点数が上がらないという方は ADL において全体の点数が低いという指標となっております
それでも踏まえて食事の ADL の点数を見るとより深くその方の生活をイメージできると思います
また、食事の採点は配膳後の準備か配膳前の準備かである程度手入れが分かりやすく可能となります。
このような形で採点の具体例を交えながら整理の仕方を示していきたいと思います
FIM総論として全体的な特徴・採点項目についてはこちらで説明しています。
⇒FIM徹底解説 ~FIMの特徴や運動項目・認知項目の採点ポイント~
食事の定義について
定義:食事が適切に用意された状態で、適当な食器を使って食物を口に運ぶ動作から、咀嚼し嚥下するまでが含まれる。
食事については上記のように定義されております
このような文章を読んでもいまいちピンとこないと思います
簡単にまとめると次のようになります
- 食事が適切に用意された状態で開始(配膳・下膳は含まれない)。
- 自助具など適切な道具・食器を使う。
- 口に運ぶ動作から咀嚼し、嚥下するまでを評価する。
- 片づけは評価しない
食事動作は比較的自立度の高い動作となっているため、減点項目を見落としがちです。その他に何が原点に該当するかというところを明確にしておくところが食事動作の採点での注意点となります。
また食事を採点する上で食事の項目は何を評価する項目なのかを理解することが必要です。
食事の採点範囲は?
それでは採点範囲をもう少し具体的に見てみます
食事の流れを以下のように羅列しました
この中で食事の採点する部分はどこからどこまでになるでしょうか?
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皆さんも一度下を見る前に考えてみてください。
正解は・・・。
〇配膳 → 対象外
〇肉を切る 〇蓋を開ける 〇エプロンを用意する → 準備
〇口に運ぶ 〇咀嚼・嚥下 〇食べ残しを集める → 採点動作
〇対象外 → 下膳
つまり、配膳と下膳は採点の対象となりませんがそれ以外は基本的には採点されると考えて良いと思います
ここで難しいところは、準備が何に該当するかということです
また 刻み食など新たに食形態を変えておく内容についても整理しておく必要があります。
食事で各点数ごとに悩みやすいケース
以下に点数ごとに悩みやすいケースを理由を交えながら紹介していきます
食事:7点の悩みやすい具体例
〇減塩食を食べている
理由:塩分制限は食事の項目で測る動作に関する工夫ではないため
〇配膳をしてもらっている
理由:「配膳」は食事動作の採点範囲の対象外であるため
〇箸を使用していない
理由:スプーンが自立していれば問題ない。箸の利用は他の手段に比べて難易度が高いため
〇食事の準備に義歯の装着を介助している
理由:義歯の装着は整容で評価をするため食事の採点時には減点されないため
箸の使用をはどうなんだろう?塩分制限は 自立度の低下に含まれるのではないか?という風によく考えられますが、上記の通り自立とみなしてよいとなります。
これは頻繁に該当するケースですのでよく覚えておく必要があります
食事:6点の悩みやすい具体例
〇胃婁を使用しているが、全て自分で行なっている
理由:胃婁も補助具の一つとして考えて判断する
〇刻み食・粥食・軟飯軟菜を食べている(食形態の工夫)
理由:配膳後のさらに前の出来事であるため準備とはみなさない
食事の採点の中で重要なこととして、配膳前の食形態の工夫を6点とみなすことができます。
反対に配膳後の作業に関しては、基本的に5点とみなされます。
「事前の準備」と「配膳後の準備」との違いで、点数が一点変わるという風に認識しておくと整理ができますね
食事:5点の悩みやすい具体例
〇配膳後に、食べ物を刻んでもらう食べ残しの食器を知被けてもらう
理由:介助者に環境の設定をしてもらっているため
〇配膳後に食べる環境を手伝ってもらう
(エプロンをつけてもらう・ゼリーの蓋を開けてもらう・醤油やドレッシングをかけてもらう)
理由:介助ではないが「配膳後の準備」と みなされるため
こちらは6点と違い、全て配膳後に行ってもらう準備の内容になります
逆に食事の場面で配膳をしてもらった後の手伝ってもらう事は全て5点になってしまいます。7点にするためには食事のための動作はすべて一人でできる必要があるということですね
食事:4点の悩みやすい具体例
口の中に食物が溜まっていないかを介助者が指で確認する必要がある
理由:見守りや監視・準備以上の最小介助を要しているため
誤嚥を防ぐためにアイスマッサージなどの寒冷刺激を行った上での食事を行っている
理由:見守りや監視・準備以上の最小介助を要しているため
これもやや難しい内容になります
覚え方としてはアイスマッサージを食物のたまりを確認することは「最小介助の一つである」と覚える必要があります。
整理の仕方としては食事の動作を手伝っているかどうかで判断できると思います
食事:1点の悩みやすい具体例
〇咀嚼嚥下は安全に行えるが、スプーンを口まで運ぶ動作は全て介助
理由:食事は、動作と嚥下動作で評価するが、主に動作に重点を置いてあるため
正直説明を受けても納得がいかない内容でした
ポイントは 「動作と嚥下動作」の両方を評価するが主に動作を見るためとのことです。
ただし、それだと動作は問題ないが嚥下能力で減点されるというケースは見られないと思います。結果的に、嚥下能力で減点されることはなく、食事においての採点は飲み込みは含まれないということ
ちなみに食べることはできるがむせがあるというケースはFIMをつける以前の問題であるという回答がありました。
確かに当たり前ですね
まとめ
今回FIMの中で採点に悩む点を中心にまとめてみました
やはりFIM にも特徴があるためそのポイントを抑えれば判断に難しいところでも正しく採点できると思いました
そのためこの辺りを繰り返し確認し覚えていく必要があると思います