ここでは、FIMの基本的な特徴についてみてみます。
そしてADL評価の目的やその活用方法などを含めて
具体例を交えながら説明していきます。
FIMの活用方法やADLを測定する意味は前回の記事で説明してあります。
FIMの基本的特徴について
基本的な採点項目の内訳は以下のとおりである。
①運動項目(13項目):
- セルフケア(6項目):食事、整容、正式、更衣上、更衣下、トイレ動作
- 排泄管理(2項目):排尿管理、排便管理
- 移乗(3項目):ベッドと椅子と車椅子、トイレ、浴槽
- 移動(2項目):歩行と車椅子、階段
②認知項目(5項目)
- コミュニケーション(2項目):理解、表出
- 社会的認知(3項目):社会的交流、問題解決、記憶
FIMの特徴
- 18の採点項目がある
- 7段階評価 (すべて自立:128点 すべて介助18点)
- 介助量(Burden of care)を測定する
- している ADL を測定する
- 順序尺度である
FIMは運動項目と認知項目の合わせて18の採点項目があり
その中の介助量を測定します。
これは他の ADL 評価法の中にも一番細かく分かれており
より明確に把握できる内容となっています
ただし細かい分 様々な例外にも対応するために評価法には慣れる必要があります
これらを踏まえて次に具体的な特徴を説明していきます
FIMの特徴について
-
- 認知項目が含まれた ADL 評価
- 必要最低限の採点項目
- 介助量を7段階で評価する
- している ADL を評価する
- 評価する職種を問わず使用
まずは ADL 評価法の中で認知項目を詳細に判定できるのはFIMだけになります。
そのことから 身体機能だけでなく認知機能も含めて能力を評価できます。
ただ評価項目を増やすだけではなく最低限の最低項目を検討されています
またできる能力と 実際に行なっている能力が管理している場合がよく見られるため
必ずしている ADL 評価するという風に統一されております
そしてこれが一番重要ですが
これは一番多く使うのは理学療法士作業療法士が多いですが
それだけでなく病棟の看護師や介護士でも、正しく運用されていれば
だれでも採点をして記録できるように作成されています
FIMの適応範囲について
- 疾患の対象は特になく何れの疾患にも適用可能
- 年齢の対象は7歳以上となっている
- 7歳未満はweeFIMを使用する
またここでもFIMの良い点ですが
どのような疾患にもかかわらずすべての方に
能力を図ることができるというふうに対応しています。
ただし一点注意点として意外と知らない方も多いですが
一般的なFIMは年齢制限があり7歳以下の方に対しては
適用対象外となっているので注意が必要です
その際には「weeFIM」を使用するようにしてください
FIM に慣れるために
- 基本をしっかり押さえる
- 1点くらいの違いは気にしない
- 実際の患者さんの例で話し合う
- 定期的に資料を用いて復習する
- 困ったら介助量を計算する習慣をつける
まず重要なのは使っていくことが大事です
最初から完璧なのは難しいので出来る範囲でやっていきましょう
そしてその時に必要なのは基本的なところです。
一点の違いは問題ないですが大きな点数が変わってこないように
気をつけながら覚えていきましょう
それでも基本の通りにいかない時もありますのでその時に
教科書を見ながらまた確認をして知識を深めていくことが重要です
採点時の小ネタ
以下は慣れていない時に採点をする判断基準の一部として活用してください。
- している ADLを採点する
- 4点以下は介助量を計算する
- 認知の5点は運動と異なり10%未満の介助
- 異なる点に採点された場合は低い方を採用する
運動項目の採点の原則とポイント
運動項目の原則
点数 | 手助けの程度 |
7 | 自立 |
6 | 時間がかかる.装具や自助具が必要.投薬している.安全性の配慮が必要. |
5 | 監視・準備・指示・促しが必要. |
4 | 75%以上自分で行う. |
3 | 50%以上75%未満自分で行う. |
2 | 25%以上50%未満自分で行う. |
1 | 25%未満しか自分で行わない. |
7・6点 :一人でできる
5~1点 :何らかの監視や介助が必要
採点のポイント
- 介助者が必要かどうか
- 道具の使用は必要か
- 安全性の配慮は必要か
- 通常より時間を要すか
- 介助量が手を触れる必要があるか
- 介助量はどの程度必要となっているか
運動項目を見る時に順番に確認する点として
まずは介助者が必要としているかどうか
その時に道具が必要ができているかどうか
できていたとしても安全性を配慮はする必要があるかどうか
もしくは実施できているが通常の時間を要すかどうか
これらに 該当しない場合完全自立となり、該当する場合は修正自立or監視となります
そしてこれ以上に介助者が手を触れる必要がある時点で4点以下となります
たとえ触れてるだけでも駄目です。
その中で介助量がどの程度の割合必要となっているかというところで
4点以下の計算をしていくこととなります
認知項目の原則・採点のポイント
認知項目の原則
点数 | 手助けの程度 |
7 | 自立 |
6 | 時間がかかる.投薬している.安全性の配慮が必要 |
5 | 監視・準備・指示・促しが必要.介助は10%未満 |
4 | 75%以上90%未満自分で行う. |
3 | 50%以上75%未満自分で行う. |
2 | 25%以上50%未満自分で行う. |
1 | 25%未満しか自分で行わない. |
5点: 監視、指示、準備以外に10%未満の手助けも含まれます。
*運動項目との違い
採点のポイント(理解・表出・問題解決)
7・6点 : 複雑/抽象的事項を一人でできる
5~1点 : 簡単な日常生活において介助が必要
採点のポイント(社会的交流・記憶)
7・6点 : 一人でこなせる
5~1点: 手助けをする必要がある
複雑、簡単(日常的)の区別がないことに注目
運動項目と違い認知項目は主に 5点の基準が異なることが大きな特徴です
基本的に運動項目では5点は見守りで一人で行えていれば良かったですが
認知項目の補填は10%未満の介助であれば5点と採点して良いことになっております
また採点の項目は認知項目の中でも①理解・表出・問題解決
②社会的交流・記憶で分かれており、慣れるまで少々時間がかかります
社会的交流や記憶に関しては該当する内容があらかじめ決まっているため
具体的に何を対象にしているかというところを
明確にしておく必要があるので注意をしてください